生体はアミノ酸を使い分けているのです

食事から摂って吸収されたアミノ酸は、体内のタンパク質の合成に使用されたり、遊離アミノ酸の状態で、細胞の中や血管の中を巡って、臓器などの働きのために、必要な時すぐに働けるように準備しています。
タンパク質の分解で生成したアミノ酸も含め、体内に遊離で存在しているアミノ酸はアミノ酸プールと呼ばれ、ここから新たなタンパク質が作られているのです。

 

平均的な成人した日本人では、体のタンパク質のおおよそ2%程にあたる、約180gのアミノ酸が分解されたり合成されたりしています。

 

もし体の中に吸収されたアミノ酸が、タンパク質か遊離アミノ酸のどちらかのかたちにしかとれず、体からアミノ酸が排出されることもないとしたら、どうなってしまうんでしょう。そういった場合になってしまえば、タンパク質を摂った分だけ筋肉が膨れ上がってしまうか、遊離アミノ酸で体の中が満杯になってしまうことでしょう。そんな身体の成長が止まった大人は、アミノ酸を補充していく必要がないので、タンパク質を食べなくても行きていけるので、逆に効率的だとも考えることができますね。

 

しかし、私たち人間の体の中は、もちろんそういった仕組みにはなっていないのです。

 

身体のタンパク質が分解して作られたアミノ酸を、全てタンパク質へと再び利用することは出来ないのです。人間の体の中でのアミノ酸の再利用率は約70%程度だと言われています。
タンパク質を全然摂らなかった場合には、1日に約30g以上のタンパク質が、利用することが出来ないかたちのままで分解し、身体から排出され失われてしまいます。

 

このように体から失われていってしまうアミノ酸を補充するために、人間はどうしても、タンパク質やアミノ酸を食事などから摂っていかなければなりません。
「第六次改定日本人の栄養所要量−食事摂取基準−」では、平均的な日本人の成人の1日あたりのタンパク質の所要量は、男性で約70g、女性で55gと定めてられています。

 

アミノ酸は、タンパク質意外の用途にも体の中で使われています。皆さんもご存知の通り、体のエネルギー源は糖であり、そして脂肪が主なものです。糖は体の中で、肝臓や他の組織内でグリコーゲンの形で蓄えられ、余分なものは脂肪として蓄えられています。血管中のブドウ糖が不足してしまうと、グリコーゲンが分解され、ブドウ糖になって血中に供給されるようになります。エネルギー源としての糖が不足してしまうと、脂肪も分解されて、体のエネルギー源として利用されるようになるのです。

 

生命活動というものは、エネルギーを消費する活動ですから、エネルギー源を体内にためる作用が、優先的に行われるように進化の過程で備わってきたといえるのでしょうか。これは、現代のような時代になってもずっと消えるものではないので、食べ過ぎをしてしまうと、肥満をもたらす結果になってしまう可能性があるのです。

 

タンパク質またはアミノ酸として過剰に多く摂取してしまった場合に、アミノ酸の中の窒素が除去され、窒素は最終的に尿素として体の外へと排泄されます。このとき、窒素を取り去った残りのものは、さらに代謝を受け、糖や脂肪へと変わります。しかし、アミノ酸を糖や脂肪に変えるためには、多くのエネルギーを消費するので、身体にとっては負担になりますし、エネルギーを蓄える考えの選択にはなりません。ですから、アミノ酸というものは、肥満をもたらす原因になってしまうという点では、糖や脂肪に比べて低いと言えるのです。