体脂肪を燃やすアミノ酸

まず体脂肪を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。

 

人間の脂肪組織を構成している脂肪細胞の数は、成人してからは変化しないといわれています。ただ、この脂肪細胞は、細胞の中に脂肪をどんなに多くのものでも溜め込める、といっていいほどに膨れることができます。溜め込んでいった体脂肪を減らすためには、この脂肪細胞自身に脂肪を消費させるようにするか、脂肪細胞から脂肪を分解させ、血液中に放出し、これをエネルギーに変えて消費させる必要があります。

 

運動をすれば、脂肪もエネルギー源に使われます。しかし筋肉では、運動をするのためのエネルギー源として脂肪を燃焼させるよりかは、もっと簡単に素早くエネルギー源になる、ブドウ糖や、アミノ酸の一種である、クレアチンとリン酸が結合してできたクレアチンリン酸などを先に使おうとする働きがあります。運動で血液中のブドウ糖が消費されても、それを補充するように、筋肉や肝臓中のグリコーゲンが分解してブドウ糖を供給し続けています。ですので、マラソンなどのように大量のエネルギーを消費する運動をしていかないことには、なかなか脂肪の燃焼までには至ってくれません。もともと脂肪組織は、できるだけエネルギーを無駄にしないためにある組織として、私たち体の中で働いています。その他のエネルギー源の働きがなくなってきた頃に、ようやく利用されるというものは、人間の身体にとってはとても合理的と言えるのでしょう。しかし返して言えば、ダイエットにとっては、この点こそが困りものになってしまうというわけなのです。

 

さて、脂肪組織が脂肪をできるだけ無駄にしないように蓄えているといいましたが、同時に脂肪組織には積極的に脂肪を燃焼させて、熱に変えてしまう能力が人間には備わっています。これには生物学的な意味があるのです。それは、体の温度の低下を防ぐために、脂肪組織が熱を生み出してくれるのです。ただし、脂肪組織全部にこのような働きがあるわけではなく、脂肪細胞の種類の中でも、褐色脂肪細胞という細胞が、特にこの働きが強いことがわかっています。

 

褐色脂肪細胞は、冬眠動物に多いと言われています。人間にも体重の数%が褐色脂肪組織の働きを持つ細胞があるのです。それなら、その褐色脂肪組織の働きを強めることが効果的なのではないでしょうか。

 

脂肪組織の脂肪燃焼の働きを促す要因として、交感神経や感覚神経があります。つまり交感神経を刺激することによって脂肪を燃やすようにし、体脂肪を減らせるというわけなのです。これらの交感神経や感覚神経を活性化する方法や物質は、数々知られていますが、私たちが口にする食品の成分では、カフェインが代表的ですね。近頃、健康食品でもよく用いられている、赤唐辛子の辛み成分のカプサイシンもその一つなのです。

 

私たち人間などの、生体内で交感神経を刺激しているものの代表的なものは、ノルアドレナリンです。ノルアドレナリンは、アミノ酸のフェニルアラニンや、チロシンを原料にして細胞が作り出す物質で、アドレナリンにも変化するのです。
ストレスなどで、脳のノルアドレナリンの分泌量が減少した動物に、チロシンを与えた実験を行った結果、ストレスに対しての抵抗性が高まったという報告があるのですが、健康体の人がチロシンを摂取したからといって、ノルアドレナリンが増えるわけではないようです。ヒスタミンも交感神経刺激物質で、ヒスタミンはアミノ酸のヒスチジンから作られています。

 

脂肪が細胞内でエネルギーに変わる時には、脂肪は脂肪酸とグリセリンにまず分解され、脂肪酸が細胞内のミトコンドリアという器官に取り込まれて代謝されます。この時に、大半の脂肪酸はカルニチンという物質と結合しなければミトコンドリアに取り込まれません。カルニチンは、体内でアミノ酸のリジンから作り出される物質です。米国などでは、カルニチンを摂取することが、脂肪の燃焼を促してくれるという点から、ダイエット用のサプリメントに、カルニチンが使われているのです。