基礎代謝を高めるための筋肉を鍛えよう

人間の体では、筋肉が体を動かすためにあるということはいうまでもありません。手足や指などを動かしている骨格筋はもちろんのこと、心臓などの臓器も、ほとんど全体が筋肉でできていますし、肺を動かすための横隔膜も筋肉で、さらに、胃や腸も専用の筋肉で動いているのです。骨格筋だけでも、人間の体重の40%以上を占めていると言われています。

 

「動く」という特別な動きを作用しているのは、筋肉のタンパク質の働きによる特徴的なものです。普段日常食べている牛や豚、または鶏の肉を見ていただければわかるように、筋肉は約60〜70%の水分と、脂身の部分を除けばタンパク質の固まりといってよいくらいにタンパク質が集まってできています。筋肉の中の主なタンパク質はミオシンと、アクチンというタンパク質です。もちろんアミノ酸からも作られています。

 

筋肉はタンパク質の固まりだといいましたが、正確に答えると、タンパク質を詰め込んだ細胞の集まりと言えます。筋肉の細胞は、成人してからは、分裂をほとんどしないと考えられています。しかし、筋力トレーニングをたくさんやり続けたりすると、筋肉量が増えたり、逆に、スペースシャトルから帰還した宇宙飛行士の方などは、無重力のために体重を支える筋肉をほとんど必要としないので、体の筋肉量が減ってしまうというのは、筋肉の細胞中のタンパク質の量が、それぞれの環境に応じて変化しているからと言えるのです。

 

運動によって筋肉が増えるという理由は、完全にはまだ解明されていません。しかし現象としてみてみると、一般的には、運動の後に筋肉中にアミノ酸がたくさん取り込まれて、タンパク質の合成が促進される働きをします。人間の皮膚のコラーゲンが、合成と分解を繰り返しているのと同じように、筋肉も合成と分解が並行して行われているわけです。そのバランスが合成か分解に傾くかで、筋肉の量がかわっていくのです。

 

もちろん、筋肉を動かすのにはエネルギーを必要とします。筋肉のエネルギー源のひとつはブドウ糖ですが、筋肉の場合はブドウ糖を連結させて、グリコーゲンに変化し、細胞内にエネルギー源として備蓄しているのです。また、クレアチンが、リン酸と結合してできたクレアチンリン酸も、とても重要なエネルギー源となっているのです。

 

人間が激しい運動をした場合は、普通に呼吸をしていても、筋肉への酸素の供給が足りなくなるので、酸素の力で、ブドウ糖からエネルギーを取り出していくのには限界があります。そこで、運動後の酸素不足の時には、クレアチンリン酸の分子の中にある、クレアチンとリン酸の間の結合エネルギーが、筋肉の収縮のために利用されるようになっています。クレアチンが体内で作られる過程には、アルギニン、グリシン、メチオニンという3つのアミノ酸が関わっています。筋肉の合成や分解に影響しているアミノ酸には、分子の形の特徴から、分岐鎖アミノ酸、またはBCAAと総称されているロイシン、イソロイシン、バリンという3つのアミノ酸の他、グルタミン、アルギニン、オルニチンが知られています。これらのアミノ酸も、筋肉の分解を抑えて合成を促す働きをしているのです。

 

筋肉増強というと、ムキムキな体つきのボディビルダーを思い浮かべてしまいますが、BCAAやグルタミンやアルギニンを体内に摂取したからといって、特別なトレーニングをしない限り、あのようなムキムキの肉体にはなりません。それより、栄養的に無理のある食事制限などをしてのダイエットによる筋肉の委縮や、高齢者の寝たきりなどによる、筋肉の衰えを防ぐものとして、アミノ酸の補給の意義を考えるべきと言えるでしょう。

 

サプリメント先進国と言われている米国では、成長ホルモンの分泌を促すことで、筋肉を作り丈夫にするという点から、アルギニンとオルニチンとリジンを組み合わせたものが、筋肉強化やダイエット用サプリメントの定番のひとつになっています。これらのアミノ酸のうち、オルニチンはタンパク質を構成することのない特殊なアミノ酸なのですが、私たちの体の中にも含まれていますし、食材ではシジミなどにも多く含まれています。日本でオルニチンの成分は、ほとんど健康食品や飲料に使われたことがなかったのですが、、今後は日本でも、このような働きを持ったオルニチンが含まれた製品が増えてくることでしょう。