コラーゲンも老化する

真皮中の線維芽細胞が、コラーゲンの合成や分解を常に行って、真皮をしっかり保つために努めているのですが、コラーゲン分子の代謝の回転はそれほど速くはなく、古いコラーゲンを完全に新しいコラーゲンに置き換えるには、少し時間がかかると言えます。また、真皮繊維芽細胞のコラーゲン分子の損傷が蓄えられていきます。コラーゲンは比較的に安定しているタンパク質ですが、長期的には様々な反応をしてしまうこともあるのです。

 

例えば、コラーゲン中のアミノ酸が糖と反応してしまうと、メイラード反応という反応が起こってしまい、コラーゲンと糖が結合した物質ができてしまうのです。また、表皮を通過した紫外線がコラーゲンに作用すると、コラーゲン分子のアミノ酸が、他のコラーゲン分子のアミノ酸と強固な結合を作ってしまいます。このような結合反応を架橋形成反応といいますが、コラーゲン分子のアミノ酸の間で生じる架橋には様々なものが知られています。

 

架橋が蓄積してしまうと固くなってしまい、肌の柔軟性が失われていくことにもなりますし、コラーゲンを分解する酵素の作用も受けがたくなって、ますます真皮に残ってしまい架橋の数を増やしていくことになりかねないのです。真皮全体の代謝活性は、人間の加齢とともに低下していきますが、バランス的にはコラーゲンを合成するより、分解する方が強くなっていくのです。そのため、真皮中のコラーゲン量は減ることになり、皮膚が薄くなっていくのです。これが、人間の肌の柔らかさやハリが衰えてくる現象なのです。

 

現代では、シワを減らす効果が立証されいて、医薬品にもなっているのは、レチノイン酸の塗り薬だけです。レチノイン酸はビタミンAの類緑物質で、薬理的な活性はビタミンAよりも強い物質なのです。レチノイン酸には、真皮線維芽細胞のコラーゲン分泌を促進する作用があります。ですから、これによって真皮中の新しいコラーゲン量が増大して、皮膚の状態が改善していくと考えられています。しかし、大きなシワには効果があまり期待できないようです。残念ながら、日本では副作用についての懸念が排除されていないため、承認されていないのが現状です。

 

レチノイン酸が、皮膚の外からコラーゲンを増大する効果を発揮するとすれば、皮膚の外側から、直接コラーゲンを与えてやればよいのではないかと考えますよね。極端な方法としては、コラーゲンを、シワの部分に注入する方法があり、美容整形で実用化されています。この注入を行った方を見てみても確かに効果があるようです。では、コラーゲンを注入するのではなく、皮膚に直接塗った場合はどうなんでしょうか。残念ながら、コラーゲン分子は表皮を通過できないので、コラーゲンを皮膚の外側からいくら塗ってみても、コラーゲンを供給することはできると言えないのです。

 

化粧品にコラーゲンが使用されているのは、コラーゲンとが持つ保湿作用があるからで、皮膚の表皮の水分を保つためには有効だと言えます。コラーゲンと同じく、最近化粧品に配合されることの多い、ヒアルロン酸についても同様なことと言えるでしょう。